LLMと生成AIの違いは?技術面・ビジネス面の両視点から徹底解説
AI技術の進化は目覚ましく、特に自然言語処理の分野では、LLM(大規模言語モデル) と 生成AI が注目を集めています。
しかし、これら二つは概念が近いがゆえに違いを十分に理解されていない方も多いのではないでしょうか
本記事では、LLMと生成AIの基本的な概念、技術的な違い、サービス活用における違い、そしてビジネスでの活用事例について詳しく解説いたします。

AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
LLMとは
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LLM(大規模言語モデル)とは、大量のテキストデータを学習することで、人間が使う自然言語を理解し、生成する能力を持つAIモデルです。
特に、Transformerという深層学習モデルを基盤としており、文脈を捉えた自然な文章生成、要約、翻訳といったタスクを高精度に行うことができます。
LLMは、後述する生成AIの一種であり、その中でも特に言語処理に特化しています。
生成AIとは
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生成AIとは、テキスト、画像、音声、動画など、様々な種類のコンテンツを自動的に生成できるAI技術の総称です。
LLMも生成AIの一部ですが、生成AIはLLM以外にも、画像生成に特化したGAN(敵対的生成ネットワーク) や Diffusionモデル(拡散確率モデル)、音声合成モデルなどの技術を含んでいます。
生成AIは、クリエイティブな作業の自動化や新しいコンテンツの創出に貢献している技術です。
技術視点で見るLLMと生成AIの違い
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LLMと生成AIは、いくつかの違いがあるため、ここで解説いたします。
これらの技術的特徴を理解することで、両者の役割の違いがより明確になるでしょう。
本章では以下の3つの観点から比較します。
構造・アーキテクチャの違い
- LLM: 主にTransformerを基盤とし、自己注意機構(Self-Attention)を活用して文脈理解を深める。
- 生成AI: 画像生成にはGANやDiffusionモデル、音声生成にはWaveNetなど、生成するコンテンツによって異なるモデルが使われる。
LLMが言語処理に特化しているのに対し、生成AIはより広範な種類のデータを扱うため、多様な構造を持っています。
学習データの違い
- LLM: 主にウェブページや書籍、ニュース記事、論文などのテキストデータを学習し、多様な文体や専門知識を習得。
- 生成AI: コンテンツの種類(画像、音声、動画など)に応じて、それぞれ特化したデータセットを利用。
学習データの種類が、モデルの出力するコンテンツの種類を決定づける重要な要素となるのがわかります。
生成プロセスの違い
LLMは、ユーザーからのプロンプト(入力文脈)に基づき、次に続く単語を順次予測・生成して文章を作り出す自己回帰型の生成プロセスを持ちます。
例えば、ChatGPTのようなLLMは、直前までの単語列から次の単語の確率分布を計算し、一語ずつテキストを生成します。
一方、生成AI全般では、多様な生成プロセスが存在しており、以下のようなものがあります。
- RNN(再帰型ニューラルネットワーク) による系列生成
- GAN(敵対的生成ネットワーク) による敵対的生成
- Diffusionモデルによるノイズからの逐次的生成
画像生成モデルでは、ランダムノイズから徐々に画像を精緻化していく手法や、生成ネットワークが一度に画像全体を出力する手法が使われ、テキストとは異なる進行でコンテンツを生み出します。
LLMは「次の単語を予測する」というプロセスで動作するのに対し、生成AIは扱うデータの種類に応じて異なる生成アルゴリズムを採用しています。
サービス活用視点から見るLLMと生成AIの違い
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サービス活用の観点から見ると、LLMと生成AIは、利用目的、生成されるコンテンツの種類、導入・利用の方法に違いが見られます。
用途・目的の違い
LLMは、主に自然言語の理解と生成を必要とする用途に利用されます。
- 対話型のチャットボット
- 質問応答システム
- 文章の自動要約・翻訳
- 文章生成(記事作成やメール文面作成など)
企業では、カスタマーサポートでの問い合わせ対応や、社内文書の要約、自動翻訳サービスなど、LLMの言語能力を活かした活用が一般的です。
一方、生成AIは、テキスト以外にも幅広いクリエイティブ領域で用いられています。例えば、以下のような用途があります。
- 画像生成: 広告バナーやデジタルアートの作成
- 音声生成: ナレーション音声や対話音声の生成
- 医療分野: 画像データ補完やシミュレーション動画の生成
LLMの用途が「言語」に特化しているのに対し、生成AIは画像・音声・動画など様々なメディアを対象とした目的で利用される点で用途の幅が異なります。
出力コンテンツの違い
LLMの出力は、人間が読めるテキスト情報です。
生成された文章や会話文、要約文、さらにはプログラミングコードもテキストデータの一種であり、LLMは基本的に文字列として結果を提供します。
一方、生成AIは、モデルの種類ごとに出力するコンテンツ形式が異なり、画像・音声・音楽・動画など多彩なコンテンツを生み出すことが可能です。
LLMは文章という一つのモーダル(形式)のみを扱いますが、生成AIはテキストも含め複数モーダルのデータ生成を含んでいます。
導入・利用方法の違い
LLMをサービスや業務に導入する際は、主にAPIや対話インターフェースを通じて利用する形態が一般的です。
例えば、OpenAIのGPTシリーズを組み込んだチャットボットを自社システムに統合したり、Microsoft 365 CopilotのようにオフィスアプリにLLM機能を組み合わせて文章作成支援に活用するといったケースがあります。
一方、画像や音声といった生成AIの導入では、クリエイティブツールへの組み込みや専用サービスの活用が中心です。
例えば、AdobeはデザインソフトのPhotoshopに生成AI機能(Firefly)を搭載し、ユーザーが直接画像の生成・編集を自然文で指示できるようにしています。。
LLMはチャットボットや文書処理エンジンとして業務システムに統合されることが多く、生成AI(画像・音声系)はデザインソフトやメディア制作パイプラインに組み込まれて活用される傾向があります。
LLMと生成AIのビジネス活用事例
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近年、LLMと生成AIは、いずれもビジネス現場で活用が進んでおり、業務効率化・自動化とクリエイティブ領域でのコンテンツ創出の双方で注目すべき事例が出てきています。
LLMによる「業務効率化・自動化」の活用事例
LLMを活用したチャットボットやバーチャルアシスタントは、顧客対応や社内問い合わせ対応の自動化に大きく寄与しています。
出典:Dify
ChatGPTのようなLLMを組み込んだシステムにより、ユーザーからの問い合わせに対して自動で適切な回答を返すカスタマーサポートが実現し、人手による対応負荷を大幅に削減しています。
また、社内業務では、LLMを使った報告書の自動要約や議事録の自動生成なども行われており、情報整理の時間短縮につながっています。
Microsoft 365 Copilotのように、社員の文章作成やデータ分析をアシストするLLMツールを導入し、日常業務の生産性を上げた事例もあります。
さらに、プログラミング分野では、GitHub CopilotなどLLMを活用したコード自動補完ツールが開発者の作業時間短縮に寄与しており、種々の業務プロセスにおいてLLMは自動化・効率化の原動力となっています。
出典:Microsoft Copilot
生成AIによるクリエイティブ・コンテンツ制作の活用事例
生成AIは、コンテンツ制作の領域において、クリエイターの発想を刺激し、制作プロセスを高速化する大きな力を秘めています。
たとえば、DALL-EやStable Diffusionなどの画像生成AIを用いることで、わずかなテキスト指示からでも試作段階の画像やアート作品を素早く生み出すことができ、従来の制作フローを大幅に効率化すると同時に、新たな表現の可能性を探る足がかりにもなります。
出典:Stable Diffusion HP
また動画生成AIを活用することで、プロモーションビデオのプロトタイプや特殊効果の制作をより短時間かつ柔軟に行うことができ、映像クリエイティブの幅とスピードをかつてないほど拡大できます。
このように、生成AIはビジネスの創造的な場面でも人間のアイデアを後押しし、コンテンツ制作全体の生産性とクオリティを高める重要なツールとして注目を集めています。
まとめ
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LLMは、自然言語処理に特化した生成AIの一種であり、テキストデータの生成、要約、翻訳などのタスクを得意とします。
一方、生成AIは画像、音声、動画など、テキスト以外の多様なコンテンツを生成できる技術の総称です。
LLMと生成AIは、それぞれ異なる技術的特徴、用途、導入方法を持っており、ビジネスや個人のニーズに合わせて適切に使い分けることが重要です。
技術を理解し活用することで、業務効率化、クリエイティブ制作の加速、新しいサービスの創出など、様々な可能性が広がるでしょう。