高速応答×拡張思考で進化するAIエージェントClaude 3.7 SonnetとClaude Codeの総合解説

Claude 3.7 SonnetClaude Codeは、Anthropicが2025年2月に発表した新世代の大規模言語モデルとエージェント型コーディングツールです。
本記事では両者の概要から具体的な強み、安全性や実際の導入事例まで多角的に解説します。
高速応答と深い推論を組み合わせたハイブリッド推論モデルが、開発作業から業務自動化まであらゆる場面でどのように役立つかを紹介します。

仲 思成
著者: 仲 思成

AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。

Claude 3.7 Sonnetとは

ここでは、**「Claude 3.7 Sonnet」**の基本的な位置付けや仕組みについて解説します。どのようなコンセプトのもとで開発されたか、核心となるハイブリッド推論モデルの概要を紹介します。

ハイブリッド推論モデルの概要

Claude 3.7 SonnetはAnthropic社が2025年2月に発表した最新の大規模言語モデルです。
**「ハイブリッド推論モデル」として位置付けられ、高速なレスポンス段階的思考(Extended Thinking)**を一つのモデルで両立する世界初の試みとされています。

「通常モード」と「拡張思考モード」を切り替え可能で、通常モードでは従来モデル並みの即時応答を実現します。**
拡張思考モードでは段階的な推論プロセスを内部で実行し、慎重に結論を導きます**。さらに推論過程の可視化機能により、モデルがどのように考えているかを追跡できる点が大きな特長です。

200K超のコンテキストウィンドウとマルチモーダル対応

Claude 3.7 Sonnet約200Kトークンという巨大なコンテキストウィンドウを備え、複雑なドキュメントや大規模コードベースを一度に読み込むことが可能です。
加えてマルチモーダル対応を開始しており、テキストだけでなく画像内の文字や図表の解析にも部分的に対応しています。

拡張思考モードでの推論に利用するトークン数は、API利用時に開発者が指定できます。
応答速度とコストを抑えたい場合は低トークン数設定、高品質な回答を重視する場合は高トークン数設定が可能です。

新エージェント型ツール

ここでは、「Claude Code」と呼ばれるエージェント型コーディング支援ツールの概要を解説します。どのように開発フローを自動化し、GitHubなど外部連携を行うのか、その仕組みを紹介します。

Claude Codeの特徴とリサーチプレビュー

Claude Codeは、ターミナルから直接操作できるエージェント型の開発支援ツールです。
コード編集やテストの実行、GitHubへのコミットやプッシュなどを一括でClaudeに任せられます。限定的なリサーチプレビュー段階ですが、テスト駆動開発や大規模リファクタリングで特に威力を発揮すると報告されています。

社内テストでは45分以上かかる作業を一度の自動実行で完了させるなど、開発時間とコストを大幅に削減した事例があります。
今後はツール呼び出しの信頼性向上や長時間コマンド実行への最適化などが進められる見込みです。

GitHub連携とブラックボックス回避

Claude CodeはGitHubリポジトリと連携し、ローカルのコード編集からコミット・プッシュまでをすべて自動化できます。
進捗や変更内容の途中報告が行われ、人間がプロセスに介入しやすい仕組みのため、ブラックボックス化しにくい点が評価されています。

Claude 3.7の主な特徴

ここでは、**「Claude 3.7 Sonnet」**の目玉機能や性能強化ポイントを整理します。数学・物理やコーディング分野での正確性向上や、拡張思考モードの詳細について紹介します。

複雑タスクやコーディング能力の向上

従来モデルのClaude 3.5 Sonnetに比べ、コーディング性能や論理推論能力が大幅に強化されました。
SWE-benchやTAU-benchなどの評価指標で10〜15ポイント以上上回る成果を示し、複雑な数理問題や大規模ソフトウェア開発で高い正解率が報告されています。

拡張思考モードを利用することで数十ステップにわたる慎重な推論が可能です。
ポケモンなどのゲームを自動プレイさせる実験でも、以前のバージョンを超える成果を上げています。

有害性低減と不必要な拒否応答の削減

Anthropicによる安全評価とチューニングにより、不必要な拒否応答を45%削減したと発表されています。
正当なリクエストには応えつつ、有害な指示には引き続き適切に対処するバランスを強化しています。

**憲法ベースAI (Constitutional AI)**の理念が組み込まれ、モデルが自己検閲と自己改善を行う設計です。
この点はセキュリティと倫理面でも特に重視されており、企業での実用化に向けた安全性が高まっています。

提供プランと価格

ここでは、**「Claude 3.7 Sonnet」**の提供形態や料金体系について解説します。無料から有料プラン、API経由での利用やクラウド連携などを取り上げます。

無料プランからエンタープライズまで

Claude.ai上では、無料プランからPro・Team・Enterpriseプランまで幅広く提供されています。
無料ティアでも一定の機能が試用可能ですが、拡張思考モードは有料で解放され、Proプラン以上で深い推論をオンにできます。

エンタープライズ契約では独自インフラや優先処理、オンプレミス導入などの相談も可能です。
大規模ユーザには専用ガードレールやセキュリティ機能が整備されています。

APIのトークン従量課金

APIの料金体系は入力100万トークン3ドル、出力100万トークン15ドルというシンプルな従量課金制です。
拡張思考モードで消費する思考トークンも同一レートで追加料金は不要です。

さらにプロンプトキャッシュやリクエスト一括処理によって、最大90%/50%の費用削減が見込めるとされています。
GPT-4などと比較すると、入力トークンあたりの価格が1/10程度になるなど、非常に低コストなのが特長です。

主要な競合比較

ここでは、GPT-4やGoogle Geminiなどの主要な競合モデルClaude 3.7 Sonnetを対比します。コンテキスト長やコーディング性能、価格面の違いを示します。

各モデルの性能比較表

モデル コンテキスト長 特徴・性能 価格
Claude 3.7 Sonnet 200Kトークン超 高速応答と拡張思考のハイブリッド。コーディング・数学問題に強く、幻覚率も低い $3 / $15 (100万T)
GPT-4 (OpenAI) 標準8K / 拡張32K 高汎用性。画像入力(Vision)などマルチモーダル対応だが、拡張思考モードや速度調整機能はなし $30 / $60 (100万T)など
Google Gemini 2.0 Pro 最大1Mトークン(一部Flash版) マルチモーダル対応とツール利用が強み。長文読解や事実性でClaudeほど安定せず、一部幻覚が指摘される Vertex AI従量課金(非公開)
Mistral Large 2 (OSS) 約128Kトークン オープンソースで自由度が高い。性能は商用モデルに近いが、一貫性や安全面ではまだ課題 無料(大規模計算環境要)

この表ではコンテキスト長価格・性能に注目しながら比較しています。
Claude 3.7はコーディング性能が特に評価され、価格面でも優位性が高いとされています。

開発者向けの特徴

ここでは、**「Claude 3.7 Sonnet」と「Claude Code」**のAPIやGitHub連携など、開発者が注目すべきポイントを解説します。モジュール的な運用や拡張思考モードの制御などに触れます。

APIでの拡張思考制御と大規模コンテキスト

AnthropicのAPIでは、拡張思考モードのオンオフや思考トークン数の上限を任意に指定できます。
応答速度と品質のトレードオフを最適化できるため、プロンプトに応じて柔軟に推論予算をコントロールできます

約200Kトークンの巨大コンテキストを活かし、大量のファイルや複雑なドキュメントを一度に処理可能です
企業内ナレッジベース検索や大規模リポジトリの分析などに有用だと報告されています。

Claude CodeとComputer Use機能

Claude Codeはコマンドラインからコードの編集やテストを自動実行できるツールです。
さらにAnthropicは**「Computer Use」**という機能を研究しており、モデルが仮想的なUI操作を行うことで、外部ソフトウェアを自律的に利用できるようにする試みを続けています。

これにより、フルスタックの自動化が期待され、コーディング以外の操作にも展開できる可能性があります。
Anthropicは周辺ツールとの組み合わせで、モデルをモジュール的に拡張するアプローチを打ち出しています。

実際の評価事例

ここでは、**「Claude 3.7 Sonnet」や「Claude Code」**を導入した事例やユーザー評価を紹介します。開発者コミュニティや大手企業のフィードバックをまとめます。

開発コミュニティでの高評価

Cursor社は**「Claudeが再びコード生成でベストインクラスになった」**と述べ、大規模コードベースへの対応を高く評価しています。
Vercelは複雑なエージェント型ワークフローでの正確さ、Replitはウェブアプリ構築で詰まらない点を特筆しています。

Canvaでは**「本番品質のコードを安定して出力し、デザイン面のエラーも少ない」**と評され、
多くのユーザーがコーディング支援と外部ツール連携の利便性に驚きと期待を寄せています。

Lyft社における導入成果

Lyft社はカスタマーサポートにClaudeを導入し、対応時間を87%短縮したと報告しています。
問い合わせの大半をAIが一次処理し、難しいケースのみ人間が対応するハイブリッド型で大きなコスト削減に成功しました。

今後はエンジニアリングチームでもClaude Codeを導入し、ソフトウェア開発工程を大幅に効率化する計画を進めています。
Anthropicとの提携により、次世代のモデルやツールの試験導入にも積極的に参加しているといいます。

試してみた

ここでは、**「Claude 3.7 Sonnet」「Claude Code」**がどのような場面で活用できるかをまとめます。実際にどのような開発ができるのか事例を見ていきます。

3Dのデータ可視化ダッシュボード

簡易的ではありますが、修正なしで以下の写真のようなダッシュボードを作成することができました。実際にグラフを3Dで見ることができ、動かしたり拡大したりできます。オリジナルのデータをインポートすることもできます。

実際にドラッグをして動かしたり、独自のデータを用いて動かしたりすることができるのでご興味のある方は下記のリンクからお試しください

3Dゲームの作成

こちらも3Dシューティングゲームを一発で出力することができました。

実際にゲームとして遊ぶことができていて、バグもありません。デザイン等の改善点はありますが機能としては十分なクオリティのものが出力されています。

こちらも下記のリンクから実際に試すことができます.

セキュリティと倫理

ここでは、「Claude 3.7 Sonnet」の安全性や「Constitutional AI」の考え方について解説します。モデルの推論過程可視化やセーフガードの拡充など、Anthropicが取り組む最新のAI倫理を紹介します。

過剰拒否の緩和とセーフガード強化

Anthropicは外部専門家との連携で安全性テストを徹底し、Claude 3.7 Sonnetでは45%もの過剰拒否削減を実現しました。
一方で危険要求にはブロックや誘導を行う仕組みを維持しており、公共機関や企業での利用も拡大中です。

推論プロセスを可視化することで監査や理解が容易になり、不適切な推論を途中で発見しやすいメリットがあります。
これにより、AIがコントロール不能に陥るリスクを下げる効果が期待されています。

コンピュータ使用機能のリスク管理

**「Computer Use」**機能によってモデルがブラウザやOSを操作できるようになると、プロンプトインジェクション攻撃などのリスクが懸念されます。
Anthropicは二重確認や安全リストの参照など、厳格なセーフガードを用意しているといいます。

**憲法ベースAI (Constitutional AI)アプローチでは、モデルが「ハームを与えない」「人権を尊重する」**といった原則を内部で保持し、
危険な挙動や差別的発言を自律的に回避するよう調整されています。

Anthropicの動向

このセクションでは、Anthropic社が2025年2月前後に発表したその他のニュースを紹介します。公共分野や国際規制への関与など、多面的な活動が展開されています。

英国政府との提携と公共サービス活用

2025年2月14日に**英国政府(科学・イノベーション・技術省)**とMOUを締結し、Claudeを含む先端AIを公共サービスに活用する取り組みを進めています。
行政のオンライン化やインフラ保護など、多方面での協力が模索される予定です。

Anthropic Economic Indexの公開

2025年2月10日に**「Anthropic Economic Index」**が公開され、AIが経済・雇用に与える影響を継続的に測定しています。
ソフトウェア開発や技術文書分野でAI利用が特に多く、中高賃金層ほどAI導入率が高い傾向が示されました。

Lyft社との協業や国際AIガバナンス

Lyftはすでに顧客サポートにClaudeを導入して問い合わせ対応を87%削減し、新たにエンジニアリング部門への全面導入を計画中です。
AnthropicはパリAI行動サミットなど国際的な会議に参加し、安全なAI開発や規制の枠組みに関するリーダーシップを発揮しています。

まとめと展望

最後に、**「Claude 3.7 Sonnet」「Claude Code」**の重要性と今後の方向性を整理します。技術面や安全面での進歩が各所から高く評価され、次世代のAIエコシステム構築に大きな期待が寄せられています。

**「Claude 3.7 Sonnet」**は高速応答と段階的思考を両立し、大規模トークン対応とコーディング性能で最先端を走るモデルです。
**「Claude Code」**は実務的なコーディング自動化を可能にし、大規模開発でも実用化が進められています。

競合モデルとしてGPT-4やGoogle Geminiなどが台頭する中、低コストかつ安全性に配慮した設計を掲げるAnthropicの戦略は大きな注目を集めています。
今後もアップデートや機能追加が期待され、AIを実社会に定着させる重要な一歩として位置付けられています。

AIサービス導入のご相談は AI導入.com へ(無料)

AI導入.comでは、マッキンゼー・アンド・カンパニーで生成AIプロジェクトに従事した代表を中心に、日本・アメリカの最先端のAIサービスの知見を集めています。AIサービスの導入に関するご相談やお問い合わせを無料で承っております。ビジネスの競争力を高めるために、ぜひ以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

AI導入.comにお問い合わせする